4K・8K画質の動画コンテンツやオンラインゲームの人気が高まる中、従来の1Gbps光回線に比べて約10倍の速さを誇る10Gbps回線の需要が増えています。
しかし、市場には10G対応の機器がまだ少なく、ネットワーク機器は見た目から性能を判断しづらいことも相まって、「興味はあるけど、なんか難しそう…」と感じる人も多いでしょう。
実際に僕も、趣味の格闘ゲームを快適に遊ぶために10G光回線の有線LAN接続環境を構築しましたが、機器選定をまちがってしまい、お金と時間をムダにしました。
こうした経験を踏まえ、本記事では、初めての人でも失敗せずに10G光回線を有線LANで接続できる環境を構築できるよう、必要な情報をまとめています。
ネットワーク周りに苦手意識を持っている人でも読み進められるよう、丁寧に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
有線LAN接続するために必要な3つの機器
有線LAN接続で10Gbpsの光回線の性能を最大限に引き出すには、ネットワーク経路上の全ての機器が10Gbpsに対応している必要があります。
有線LAN接続に必要なネットワーク機器は、以下の3つです。
まずは、それぞれの機器の役割や概要をザックリと見ていきましょう。
① LANケーブル
LANケーブルは、パソコンやルーターなどのネットワーク機器同士を有線で接続するためのケーブルです。
通信速度や性能によって「Cat(カテゴリー)」という規格で分類されており、現在はカテゴリー5e~8あたりが主流です。
カテゴリーが適切でないと、思ったように速度が出なかったり、通信が不安定になってしまうことがあるため注意しましょう。
詳しくはLANケーブルの選び方で詳しく解説しています。
② ルーター
ルーターは、パソコンやスマートフォンなど複数のデバイスを同時にインターネットへ接続するための機器です。
現在では、Wi-Fiルーター本体に有線LAN接続用の端子(LANポート)が搭載された一体型が主流です。
有線LANでデバイスと接続する有線ルーター・無線LANで接続するWi-Fiルーター(無線ルーター)の2種類があります。
ルーターは外観が似ていても、性能が全然ちがう場合があります。そのため、10Gの有線LAN接続に対応した製品を選ぶために、性能を十分に理解することが大切です。
詳しくはルーターの選び方で詳しく解説しています。
③ LANカード(NIC)
LANカードは、パソコンにLANケーブルを接続するための機器です。「ニック:NIC(Network Interface Card)」とも呼ばれます。
「自分でパソコンに取り付ける」と聞くと、難しそうに感じる人もいるかもしれませんが、中学生の頃に美術の通信簿が2だった僕でも問題なく作業できたのでご安心ください。
ただし、パソコンによってはLANカードが取り付けられなかったり、10Gbpsのデータ通信ができない場合があります。詳しくは以下の記事で解説していますので、LANカードを購入する予定がある方は目を通してみてください。
10G(ギガ)光回線の有線LAN接続に適した機器の選び方

ここからは、前項で紹介した3つのネットワーク機器について、10G(ギガ)光回線の有線LAN接続に適した機器の選び方を解説します。
「細かいことは良いから、10Gの有線LAN接続に使える機器が知りたい!」という人は、本記事の下層にある10G(ギガ)光回線の有線LAN接続に適したネットワーク機器の紹介からご覧ください。
LANケーブルの選び方
まずはLANケーブルの選び方について解説します。
LANケーブルの性能は、通信の速度や安定性にモロに影響するため、以下のポイントをおさえて10G光回線の有線LAN接続に最適なケーブルを用意しましょう。
オススメはカテゴリー6A
現在流通しているLANケーブルはカテゴリー5~8まであり、数字が大きいほど最大通信速度1や伝送帯域2の数値が向上します。なお、10G通信に対応しているのはCat6A以上のケーブルです。
最大通信速度 | 伝送帯域 | |
---|---|---|
カテゴリー5 | 100Mbps | 100MHz |
カテゴリー5e | 1Gbps | 100MHz |
カテゴリー6 | 1Gbps | 250MHz |
カテゴリー6A | 10Gbps | 500MHz |
カテゴリー7 | 10Gbps | 600MHz |
カテゴリー7A | 10Gbps | 1000MHz |
カテゴリー8 | 40Gbps | 2000MHz |
上の表を見て「もちろん最新のカテゴリー8でしょ!」と思う方がいるかもしれませんが、家庭で使用する場合にはカテゴリー6Aを強くオススメします。
カテゴリー7以上をオススメしない理由
カテゴリー7・7A・8は、ノイズを予防するためのシールド処理が施された「STP」という種類のLANケーブルですが、下記の理由により一般的な家庭での使用には向いていません。
STPケーブルは適切に敷設すればノイズに強いというメリットがある半面、適切にアース処理せずに敷設すると、逆にノイズの影響を受けやすくなるデメリットがあります。
LANケーブルのカテゴリーはどれがおすすめ?主な種類と選び方を解説 | アイ・オー・データ機器 I-O DATA
僕もカテゴリー7のLANケーブルを自宅で使ったことがありますが、回線が頻繁に切断されるトラブルが発生し、原因が判明するまでは趣味の格闘ゲームができず、辛い思いをしました。
カテゴリー6Aに変えてからは回線の切断がピタッと収まり、またカテゴリー7と比べて回線速度が遅くなることもなく、快適に10G通信が使えています。
形状はフラットタイプ
LANケーブルにはさまざまな形状があり、代表的なものとしてスタンダード、フラット、スリムがあります。
僕のオススメであるカテゴリー6Aのフラットタイプは、コードが薄く柔らかい3のが特徴です。そのため、ドアの隙間やカーペットの下を簡単に通せるうえ、取り回しもしやすく、離れた部屋間の接続に便利です。
なお、フラットタイプとスリムタイプのLANケーブルは、スタンダードタイプに比べてノイズ耐性が劣るという弱点もありますが、一般的な家庭では気になるほどのノイズ干渉はほとんど発生しないので、安心して使用してください。
長さは余裕を持って選ぶべし
パソコンとルーターが離れた位置にある場合、コードが邪魔にならないように壁や天井を通すことがあり、予想以上に長いLANケーブルが必要になることがあります。
「せっかくLANケーブルを買ったのに、長さが足りない…」そんなトラブルを防ぐためにも、余裕を持った長さを選びましょう。

引っ越しが多い我が家には、歴代のLANケーブルがたくさん。最初から長めのものを購入しておけばこんなに余らせることは無かったと思う。
なお、「LANケーブルが長すぎると通信速度が遅くなるのでは?」という疑問には、メーカーのパンドウイット(PANDUIT)のサイトで以下のように回答されています。
LANケーブルの長さは通信速度に影響しません。一般的に、10メートルと100メートルのLANケーブルを比較しても、ほとんど速度差はみられません。
LANケーブルの長さが速度に与える影響 | LANケーブルと結束バンドならパンドウイット
一般的な家庭では、100メートル以上の配線をすることはほとんどないため、通信速度への影響を気にせず、余裕を持ってLANケーブルの長さを決めましょう。
ルーターの選び方
次に、ルーターの選び方について解説します。
ルーターは見た目だけでは性能が分かりづらいため、苦手意識を持つ人が多いかもしれませんが、以下のポイントを押さえれば意外と簡単に選べます。
10Gbps対応のLANポートとINTERNETポートを搭載
ルーターには、LANケーブルを接続するための端子が2種類(LANポートとINTERNETポート4)搭載されており、両方のポートが10Gbpsに対応しているルーターは、10Gの有線LAN接続が可能です。
ちなみに、2025年現在では、10Gbps対応のLANポートが1つしか搭載されていない機種がほとんどです。そのため、複数のパソコンを有線LAN接続したい場合は、10Gbps対応のスイッチングハブの導入を検討しましょう。
INTERNETポートのみ10Gbps対応のルーターに注意!
10G対応ルーターの中には、INTERNETポートのみが10Gbpsに対応し、LANポートは1Gbps対応(無線LANのみ10G通信に対応)のモデルが存在します。
このようなモデルでは、有線LAN接続で1Gbpsまでの通信速度しか利用できないため、選択する際には注意が必要です。


ルーターを購入する前に、LANポートとINTERNETポートの両方が10Gbpsに対応しているか、絶対にチェックしましょう!
無線LANの規格と混同しない
10G通信は、無線LANの通信規格である「WiFi7(IEEE802.11be)」や「WiFi6(IEEE802.11ax)5」でも利用できます。そのため、【10G通信対応のルーター = 有線LANで10G通信が使用できるルーター】とは限りません。
繰り返しになりますが、10Gの有線LAN接続に対応したルーターには、10Gbps対応の「LANポート」と「INTERNETポート」が搭載されています。無線LANの規格に惑わされずにルーターを選びましょう。
LANカードの選び方
③LANカードの項目でも記載した通り、ノートパソコンやメーカー製のパソコンはLANカードの増設や換装が難しい場合があります。そのため、ご使用のPCがLANカードの増設・換装に対応しているかどうか、事前に確認してください。
LANカードはEthernet(イーサネット)6という規格が、10Gbps(10GBASE-T)に対応した機種を選ぶだけでOKです。
予算を抑えたい人は、5Gbpsや2.5Gbpsという選択肢もあり
5Gbpsや2.5Gbps対応のLANカードもあり、10Gbps対応品に比べて手頃な価格で購入できます。そのため、「1Gbpsよりも速度を上げたいが、予算を抑えたい」という方におすすめです。
10G(ギガ)光回線の有線LAN接続に適したネットワーク機器の紹介
おすすめのLANケーブル
LANケーブルの選び方の内容を踏まえて、カテゴリー6A・フラットタイプの国産メーカー製LANケーブルをピックアップしました。購入時の参考にしてください。
ケーブルの長さは使用環境によって異なります。製品ページで適切な長さを選択してください。
【BUFFALO】ツメの折れないLANケーブル カテゴリ6a フラットタイプ
【サンワサプライ】カテゴリ6AフラットLANケーブル
【ミヨシ】 MCO LANケーブル CAT6A 対応 爪が折れにくいカバー フラットタイプ
おすすめのルーター
ルーターの選び方の内容を踏まえて、10Gbps対応のLANポートとINTERNETポートを搭載したモデルをピックアップしました。
【BUFFALO】Wi-Fiルーター WXR-11000XE12/N
筆者も使用しているルーター。購入してから1年ほど経過していますが、特にトラブルもなく快適に動作してくれています。自身を持っておすすめ!
【BUFFALO】Wi-Fiルーター WXR-6000AX12P/N
無線LANの性能は控えめ(※充分速い)ですが、有線LANの性能は先ほどのWXR-11000XE12/Nと同等です。コスパがめちゃくちゃ良いので、迷ったらとりあえずコレを選んでおけば間違いないでしょう。
【NEC】Aterm 無線LAN Wi-Fi 6E ルーター AM-AX11000T12
NECの主力ルーター「Aterm」シリーズの10Gbps対応モデル。BUFFALOのモデルと比べて本体が少し縦長です。
【TP-Link】ゲーミング WiFi ルーター Wi-Fi 7 Archer GE800
10Gbps対応のLANポートを2つ搭載し、それ以外のポートも2.5Gbps対応という超高性能ルーター。予算と自宅のスペースに余裕がある方はぜひ検討してみてください。
おすすめのスイッチングハブ
2025年現在、一部のルーターを除けば、10Gbps対応のLANポートが1つしか搭載されていない機種がほとんどです。複数のパソコンを有線LAN接続したい場合には、10Gbps対応のスイッチングハブを検討しましょう。
【バッファロー】全ポート10G対応 スイッチングハブ LXW-10G5
【TP-Link】全ポート10G対応 スイッチングハブ TL-SX105
【バッファロー】全ポート2.5G対応 スイッチングハブ LXW-2G5
おすすめのLANカード
LANカードの選び方の内容を踏まえて、Ethernet規格が「10Gbps(10GBASE-T)」に対応しているModelをピックアップしました。「できれば低予算で抑えたい!」という人のために、5Gbpsや2.5GbpsのLANカードも紹介します。
【バッファロー】10Gbps LANカード LGY-PCIE-MG2
筆者も使用している10Gbps対応のLANカードです。関係ないかもしれませんが、BUFFALO製のルーターとセットで使っているので安心感があります。
【TP-Link】10Gbps LANカード TX401
たまにAmazonセールの対象になり、少しおトクに買える10Gbps対応のLANカード。「TP-Link」は海外メーカーですが、以前購入したBluetoothドングルが安定して動作しているため、個人的に信頼しているブランドです。
【玄人志向】2.5Gbps LANカード GBE2.5-PCIE
予算を抑えたい人におすすめの2.5Gbps対応LANカード。玄人志向はBUFFALOのグループ会社である「シー・エフ・デー販売」のブランドです。
【TP-Link】2.5Gbps LANカード TX201
TP-Link制の2.5Gbps対応LANカードです。
10G光回線のプロバイダ契約もお忘れなく
10G光回線サービスを利用するためには、10Gプランの光回線サービスを提供するプロバイダと契約する必要があります。契約がまだの方は、ネットワーク機器と併せて検討しておきましょう。

1G回線の契約のままでは、10G対応のネットワーク機器を揃えても速度は変わらないので注意が必要です。
2025年現在、10Gプランの月額料金の相場は約6,000〜7,000円ほどです。プロバイダによりますが、1Gプランの月額料金プラス1,000円程度といったところです。
光回線プロバイダの種類が多く迷うかもしれませんが、僕はキャッシュバック金額の大きいGMOとくとくBBの10ギガプランを選びました。
また、大手3キャリアの携帯電話回線を利用している人は、それぞれ対応する事業者のサービスを選ぶことで、割引キャンペーンを活用できるためお得です。
※10G回線の提供エリアは各サイトでご確認ください
初めて10G光回線を契約する場合、開通工事が必要になります。繁忙期(3〜5月頃)は、契約後の工事日が2ヵ月以上先になるケースもあるため、できるだけ早く利用を開始したい場合は、余裕を持って申し込むことをおすすめします。
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